犬を飼いたい人や、すでに飼っている人にとって、犬との暮らしで一番大変だなと思うのが、やっぱり「犬のしつけ」ではないでしょうか。
猫にはしつけという概念がありませんが、犬と暮らすのならきちんとしつけることは避けては通れない道です。
この記事では、犬のしつけに最適な時期はいつなの?、という疑問から、成犬になってもしつけはできるの?、といった疑問について解説していきます。
犬にしつけが必要な理由とは
犬にとっては、しつけされてもされなくてもどっちでもよく、飼い主さんや家族との関係さえよければ幸せなのですが、ひとたび人と犬の共生を考えた時、それでは困るためしつけが必要になります。
例えば、お散歩中や誰かが家に遊びに来た時「家族以外の人を敵だと認識しない」ようにしつけなければなりません。
こういったしつけを「犬の社会化」と言います。
犬の社会化をしつけるということは、人間の都合です。
犬が生きていくのに必要のないことを覚えてもらうことになるため、しつけるのはとても難しいことですが、人との共生をより豊かなものとするでしょう。
「他の人や犬に吠えない」「家族以外の人に噛みつかない」など、飼い主さんには人と犬が共生できるためのしつけが求められます。
犬の社会化に向けて
犬が大好きな皆さんなら、犬の先祖はオオカミであるらしい、ということはご存じかと思います。
犬の交配が盛んに行われてきた背景もあり、犬が本来持っている「獰猛さ」や「凶暴さ」はすっかり影を潜め、しつけのしやすい犬種が増えてきました。
獰猛さや凶暴さと言う響きは怖く聞こえますが、どれだけ穏やかな犬でも牙があり、本気で噛めば人に大けがをさせることができることを忘れてはいけません。
犬は群れで生活することが本来の姿であって自然な状態です。
人と犬との共生において、その「群れ」に当たるのは「家」や「家族」になります。
よく犬というのは「家族の中で一番偉い人に懐く」と言われますが、それはこういった群れの性質からくるものです。
そのため、犬の中にもしっかりとた序列があります。
しつけに最も適しているのは、犬が一番信頼している飼い主さんなのですが、飼い主さんよりも他の家族に懐くことがあります。
これは、その家族が飼い主さんよりも好かれているということではなく、犬にとって「この人にリーダーになってもらいたい」と思われている可能性が高いようです。
犬の世界はシビアですが、今からでも信頼関係は築いていけますので心配無用です。
犬のしつけに最適な時期はいつ頃?
犬のしつけに最適な時期は、犬種によって多少の差はありますが、大まかな目安として、「生まれてから3ヶ月ほど経った歯が生え変わる頃から」となります。
日本で犬を購入できるのは、「生後90日経ってから」という決まりがあります。
犬を購入できる生後3ヶ月頃は、ちょうど社会化学習が始まる時期なので、急速にいろいろなことを覚え始める時期と重なります。
ですから、この時期の犬のしつけは最も重要と言えます。
生後3ヶ月頃からのしつけのポイント
生後3ヶ月の犬は「パピー期」と呼ばれる子犬の時期になります。
このパピー期から成犬になるまでの期間に、犬は人間との生活のルールやマナーを覚えていかなくてはなりません。
可愛い子犬が家の中のものを壊したり、人や物を噛んだりと一番手がかかる時期ですが、最もしつけに入りやすい時期でもあると覚えておきましょう。
成長する速度に比例して吸収が早く、パピー期に覚えたことは忘れません。
飼い主さんがしつけの上で押さえておきたいポイントが、「犬の基本情報を教える」ということです。
子犬はいろいろなものをイタズラするので、どうしてもイタズラに目が行きがちですが、まずは愛犬に犬自身の基本情報をじっくりと教えていくことがポイントになります。
犬自身の基本情報とは、「犬の名前」や「トイレの場所」「飼い主さんや家族との在り方」といった、犬が家の中で暮らしていく上での最低限のルールやマナーのことです。
この時期に、犬に正しい基本情報をしつけることができれば、成犬になっても問題行動が起きにくくなります。
愛情と忍耐をもってじっくり愛犬と向き合ってみてください。
犬の成長期から成犬のしつけのポイント
犬は、パピー期に教わったことを基本として様々な社会化を学んでいきます。
飼い主さんやその家族の行動や人間関係であったり、お散歩のときに出会った犬や人間の様子などを日々観察しながら人間と暮らすための社会化を学びます。
成犬になる頃には、飼い主さんが望むことは大体できるようになっていると思いますが、飼い主さんも愛犬もお互いの暮らしに慣れてくる頃です。
慣れてきたころに愛犬が言うことを聞かなくなったり、イタズラをするようなことがあります。
「昔ダメと言われたイタズラをやったら怒ってくれるかな?」と不安な時の行動確認であったり「嫌なことをまたされたら今度は吠えてみよう」など飼い主さんを試しています。
ですので、犬が成長してからのしつけのポイントとしては「子犬のときのしつけと同じように毎回必ず叱ってあげる」ということが大切になります。
ダメなものはいつでもダメとしつけないと、突然ダメじゃなくなってしまうことで愛犬が混乱してしまいます。
もし言うことを聞かなくなってきたのであれば、飼い主さんが最近しつけを怠っているという犬からの切実なサインかもしれません。
飼い主さんは自分がリーダーである自覚を常に持ち、愛犬をしつけ、叱ることで犬の気持ちも安定することを覚えておきましょう。
保護犬でもしつけはできるのか
飼育放棄された保護犬などを引き取り、新しく家族に迎える人が増えています。
中には飼い主の都合で、しつけがされないまま捨てられてしまうような犬もいます。
では、保護権などはどのようにしつけをすればいいのでしょうか。
犬は「基本情報となったしつけ」を忘れない賢い生き物のため、新しい飼い主さんの言うことを素直に聞くということは難しいことです。
保護犬を迎えたときに最も大切なしつけのポイントは、持っている基本情報を無理に変えようと焦らないことです。
なぜなら、保護犬には様々なトラウマが潜んでいることがあり、基本情報と同様にトラウマも忘れられないことだからです。
トラウマを理解してあげることが保護犬のしつけの第一歩となり、トラウマごと愛せるかが保護犬のしつけを成功させるカギとなります。
トラウマになるような辛い日々を送ってきた犬にとっては「これ以上また何かされるのでは?」という不安な気持ちでいっぱいです。
新しい飼い主さんがトラウマをいきなり直すようなしつけをすると、犬はますます心を閉ざしてしまうことは明白です。
保護犬を迎えた飼い主さんがしつけで心がけることは「犬のトラウマも愛する」ことが一番大切なこととなります。
地道に愛犬に寄りそうことで、いつか心を開いてくれるようになるため、「焦らず」「ゆっくり」愛犬との絆を築いていきましょう。
まとめ
今回は、犬のしつけに最適な時期や年齢、迎えた犬の境遇など、様々な環境下におけるしつけのポイントをご紹介してきました。
犬はとても賢くて従順な生き物です。
しつけされたことだけでなく、良いことも悪いことも、好きなことも嫌なことも、ずっと覚えていますので、愛情のこもったしつけくを実践するために、たくさん時間を作ってあげてください。