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犬に多い歯周病の症状や治療法

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歯にまつわる病気は犬が罹る病気の中でも最も多い病気の一つです。

代表的なものに歯周病という病気があります。

人間と同じようにものを食べてしっかり歯磨きを行わないと、犬も歯の病気にかかりやすくなってしまいます。

歯周病は飼い主さんのオーラルケアによって予防できる病気ですが、実際には正しい予防法やオーラルケアの方法を知らない飼い主さんが多いのが現状です。

ここでは犬が歯の病気に罹らないために、犬の歯の構造を理解し、病気になる原因から正しい治療法だけでなく病気に罹らないようにするための予防法をご紹介します。

目次

犬の歯の成り立ち

乳歯は生後3週間から2ヶ月になるにかけて、切歯→臼歯→犬歯の順に生えてきます。

永久歯は4ヶ月ころから7ヶ月くらいにかけて、切歯→前臼歯→後臼歯→犬歯の順で生え変わります。

普通であれば犬の生え変わりの時期は4ヶ月~6ヶ月ごろに行われますが、小型犬はこの期間よりも1ヶ月遅くなります。

歯は口の中の見えている部分(口腔内)を歯冠、見えない部分(顎骨内)を歯根と言い、歯冠と歯根の間にある部分を歯額と言います。

犬の歯の構造図

出典:みんなの動物病気大百科よりhttps://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/1250

歯冠は外側から、「エナメル質」「象牙質」「歯髄」で形成されています

エナメル質

体内の中でも最も固い組織で歯冠を覆って象牙質と歯髄を保護しています。

通常は加齢とともに歯と歯の接触や他の何らかの物質による摩擦ですり減っていきます。

象牙質

生後、歯が生え始めたときにすでに形成されている象牙質を第1象牙質と言い、加齢とともに作られる象牙質を第2象牙質、摩擦などの刺激によって形成されるのが第3象牙質と呼ばれます。

歯髄

外側に象牙質芽細胞があり、生涯象牙質を形成し続けます。

加齢とともに歯髄腔が狭まり歯が割れたり欠けたりすることで歯髄が露出し(露髄)、放置すると歯髄炎や歯髄壊死が起こります。

さらに悪化すると外歯瘻や内歯瘻に至る可能性もあります。

歯根は「セメント質」「象牙質」「歯肉」「歯槽骨」「根管」で形成されています

セメント質

セメント芽細胞から形成されており組織学的には骨に類似しています。

加齢とともに厚くなり炎症などで添加されていきます。

歯肉

歯肉は強い保護粘膜で損傷しても治癒が早いのが特徴です。

歯槽骨と線維で繋がっており歯と歯肉の間の溝を歯肉溝、歯周炎になると歯肉ポケット、歯周炎になると刺繍ポケットと呼ばれます。

歯肉のポケットの深さで歯肉炎の判断をします。

歯槽骨

歯を支えている骨の一部を歯槽骨と言います。

歯根

歯に受けた衝撃を槽骨に伝わらないように緩和させる役割があります。

犬の正常な咬合では切歯は上顎骨が下顎骨に軽く被いかぶさっています。

顎の長さや顎の幅が不均等の場合を不正咬合と言い、不正咬合のクラスを0~4クラスに分けてあらわすこともあります。

犬にとっての歯とは

肉食に近い雑食動物である犬には、裂肉歯(上顎第4前臼歯と下顎第1後臼歯)と呼ばれる剪断力の高い歯があったり、切歯では切ったり捕捉したり、犬歯で引き裂き、前臼歯で剪断、後臼歯ですりつぶす役割があり、すべての歯を駆使して獲物を捕らえ、生きるために不可欠な部位です。

歯の病気で最も多い歯周病について

歯周病は3歳以上の犬の約80%以上に見られる疾患です。

しかしこの歯周病は野生動物ではほぼ罹らず、家庭犬に多く見られます。

その理由として、野生下では野生動物の生肉を食べ、その生肉の強靭な線維によって歯の表面の歯垢や歯石が削れて比較的きれいなままでいることができるからです。

一方、家庭犬はドッグフードや手作り食など柔らかい物質が歯につきやすく、その結果、歯垢や歯石が多くなり歯肉などに炎症を起こしやすくなります。

ウェットタイプやペーストタイプはドライフードよりも歯垢がつきやすく、歯肉の炎症が起きやすい傾向にあります。

体格差では大型犬より小型犬のほうが歯垢や歯石がつきやすく、小型犬は体の大きさに比例せず歯が大きいため、狭い口の中に歯が密集していることから、食べかすなどが歯の表面につきやすいことが挙げられます。

また、小型犬は室内で飼われることが多く、おやつを与える機会が多いため歯周病になる率が高いと言われています。

歯周病を発見するには

口腔内検査を行って歯周病の程度を把握します。

最初は麻酔などはせず、大まかに口腔内を確認します。

口腔内検査とは
  1. 歯垢歯石の付着状態の確認
  2. 歯肉や口腔粘膜の腫脹、色調などを検査
  3. 麻酔下で詳細に歯肉の炎症程度、歯垢の付着程度、歯石の付着程度や歯の動揺度、ポケットの深さなどを検査
  4. 必要に応じて口腔内X線検査

これらの検査を行うことで歯周病の程度を把握して治療方針を決定します。

歯周病が進行すると

歯周炎が進行すると根尖周囲病巣(歯肉の腫れ)を引き起こし、さらに炎症が進行すると外歯瘻(皮膚に穴が開くこと)、内歯瘻(口腔粘膜に穴が開くこと)になります。

歯周病の進行の背景には、歯周炎が放置されることにより歯肉が少なくなってくる病態、歯並びの悪さ、歯列が良くないことや、食べ物が歯に挟まっていること、歯の形の異常などにより、健康な歯から歯周炎に進行しやすくなります。

人では血液疾患、糖尿病、栄養障害や喫煙などが関与すると歯肉炎のリスクが高まると言われています。

動物ではこれらの全身性因子が歯周病へ関与しているかは不明ですが、そのいくつかが歯周病のリスクを上げている可能性があります。

歯周病の治療

歯周病の治療には、歯周病の原因を突き止め、悪影響を及ぼしている歯周組織の炎症を改善します。

治療法として歯垢や歯石の除去、抜歯、歯周外科治療などのさまざまな治療法があります。

動物病院で行われる治療で最も多いのが歯垢や歯石の除去と抜歯です。

歯垢や歯石の除去は、通常スケーリングと呼ばれる全身麻酔下で歯肉縁上史跡と歯肉縁下歯石に対して行われます。

それらを除去した後にルートプレーニング(汚染されたセメント質表層を除去し滑らかな根面にする)を行い、さらに歯面を滑らかにするためにポリッシング(歯面研磨)も行います。

すべての工程が終了したら生理食塩水などで洗浄し、細菌感染を抑制するためのジェルを投与します。

スケーリングができない場合の歯周病の治療に関しては、代替治療を行います。

代替治療は、歯周外科治療か抜歯を行うことがほとんどです。

犬歯や切歯を抜歯した場合、患部をこすりつけたりしないようにエリザベスカラーを利用します。

エリザベスカラー装着中は固い食事や固いデンタルケアグッズの仕様は避け、柔らかい食事を与えるようにします。

縫合部分の歯磨きは約2週間は行わないようにしましょう。

歯周病治療後のデンタルホームケア

歯周病は、フィラリア予防や混合ワクチン接種と同様に予防できる病気の1つです。

歯の表面に歯垢や歯石がつかないようにするために、毎日欠かさず歯磨きをしましょう。

歯磨きに慣れていない子は、いきなり歯磨きをしても嫌がりますので、嫌がる子には次のトーレニングで少しずつ慣れさせていきましょう。

愛犬の歯磨きトレーニング
  1. 口に触れることができたら褒めます ※まずはこれを何回も繰り返します
  2. 触れることを嫌がらないようになったら唇をめくり、飼い主さんの指を口の中に入れます
  3. 指で歯を触ることに問題がなければ、指にガーゼを巻き付けて、ぬるま湯や水、動物用の歯磨きペーストをガーゼに付けて歯の表面をこすってみます ※歯磨きシートでもよいでしょう
  4. ここまでできるようになったら歯ブラシを用いて実際に歯を磨いてみましょう

最初は口を触るのも一苦労かもしれません。口に触れることができた際はおやつを与えて褒めるのも有効です。また、口の中に指を入れることができた時も忘れずに褒めましょう。

歯磨きペーストは動物用のものを使用しますが、ペーストを使わずにぬるま湯や水だけで磨いても問題ありません。

歯ブラシの毛先が歯肉の中に入るように角度を変え歯の表面についた歯垢を除去していきます。

犬は口の中のpHがアルカリ性のため歯垢が数日で歯石になりやすく、歯石になる速度は人の数倍も早いです。

また、歯磨きの毎日できない場合は、併用するものとしてデンタルガムやデンタルボーンなど犬自身が自ら進んで噛むことのできる歯磨きグッズを与えるのも良いでしょう。

歯磨きをしてもらう犬

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